2009年10月

秋の一日

 午前中、洗濯物をベランダに干してから、借りていたDVD5本をレンタルビデオ店へ返却。ついでに図書館へ借りていた本を返却してから今日借りた、「ジャズ喫茶・リアルヒストリー」後藤雅洋著と、「俳句力」櫂未知子著の二冊を車に積んで市内の顧客宅へ向かう。商談終了後、さらに予定の大多喜の顧客宅へ向かう。秋晴れの一日、房総の山は紅葉しているだろうか。

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 上の写真は先日仕事で行った九十九里の海岸で見たカップルたち。ファッション誌の1ページを見るような雰囲気を作ってる?感じだが、まっ、サマになっているのでアリとする。

 大多喜に行ったのなら昼は養老渓谷にあるいつもの蕎麦屋、「ゆい」で。房総の紅葉にはまだ早かったようだが、気持ちのいいドライブ日和で快適。食後、顧客宅で仕事を済ませてから千葉市内に戻る。L社によって仕事。自宅に戻る途中、蘇我のショッピングセンター、「アリオ」で食材の買い物をすませて家に戻る。ベランダの洗濯物を取り込み、録画をしておいたDVDをチェック。私の秋の一日はこうして過ぎていく。

ツアーガイド

 ハードなスケジュールで3日目の昨夜、(明け方だったかもしれない)久しぶりに金縛りにあう。嫌な夢を見てうなされている自分に気がついたのだが、思わず大声で叫んだ自分の声で目が覚める。なにしろ、台湾の温泉地に建つホテルの一室で一人だけのことゆえ、チョイ怖い気分。部屋の明かりをすべて点灯して再度眠りにつく。霊とか祟りとか占いとかも一切信じないのだが、Tシャツに汗をびっしょりとかいていた。

 この部屋にはなにか憑きものがいるなどとテレビなどで発言をする芸能人などがいるが、バカを言っちゃぁいけない。そんなものいるわけがない。私の知り合いにもそういうことを言う人がときどきいるが、ヘソで茶をわかしてやろうかという気持ちになる。そういう人は神を見たとか、宇宙人を見たとかいう人と五十歩百歩で、自己顕示欲の変種にしか過ぎない、と思う。私は自分の見たものしか信じない。

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 朝、ホテルの周辺を散策。温泉の流れる川沿いをゆっくりと歩いて気分をリラックスさせる。昨夜の夢の内容はもう覚えていない。食事を済ませると、免税店を経由してから三峡へバスは向かう。途中、200年以上の歴史があり、台湾で最も美しい彫刻を誇る、「清水祖師廟」へ寄る。1895年の抗日の戦いと1948年の火災で破壊されたが、季梅樹によって修復されたそうで、石柱の彫り物など精緻を極める。境内で売られている名物クロワッサンは、「牛角」と表記されていたが、なるほど姿形を考えるとピッタリ。

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 バスに乗り、橋を渡ると鶯歌(おうか)という200年以上の歴史のある陶磁器発祥の地に入る。橋の上からガイド氏の指差す方向にオウムに見える石が山腹に見える。この石が町の名になったそうで、街中の歩行者専用道の両側には約100軒の陶磁器店が立ち並ぶ。一時間ほど街中を散策するが、目ぼしい陶磁器は発見でききなかった。

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 さて、この街を最後に今回の台北観光旅行はすべてのプログラムを終了。この手のツアーで感じる満足度に大きなポイントを占めるのはガイドの存在。参加者が一様に口を揃えて言うには、「今回のガイドさんはアタリでしたね」ということだった。私もそう思った。台湾は初めてだったが、このガイドさんのおかげでより台湾に魅力を感じたし、日本との関係もよく理解できた。いつかまた再訪しよう、そんなことを思いながら機上(16:30発CI106便)の人になった。

蒋介石

 ホテルチェックアウトして、本日は北投温泉への移動日。が、その前に私の台北訪問のメインイベント、「故宮博物院」へ。ここ、世界四大博物館に名を連ねる中国文化の殿堂だけあって展示物も素晴らしい。NYのメトロポリタン美術館、パリのルーブル、ロンドンの大英博物館には過去何回か訪れているが、いままで故宮博物院には訪問の機会がなかった。今回やっとその念願がかなえられた、というわけなのでチョイ胸がトキめく。

 ちなみにガイド本から引用すると、「北京の紫禁城にあった歴代皇帝のコレクションは1925年時点で総数117万点に及んでいた。これが日本軍の侵攻を受けて南方へ移され、19557箱の文物が1933年に南京、1937年に四川省へと運び込まれた。その後、1947年には南京と北京に戻されたが、今度は内戦が起こり、蒋介石率いる国民党政府の手によって台北へと移された。こうしてコレクションは海を渡ることになった。台湾に到着した文物は名品だったが、その数は2972箱になっていたという。」

 ガイド氏は必見お宝をピンポイントで館内効率よく案内してくれる。すべて私が見たかったものばかりだ。で、その後は各自のお気に入りを求めて館内を自身で自由に徘徊。ちなみにガイド氏が我々を案内してくれた必見お宝は、①玉鷹紋圭、②毛公鼎、③嘉量、④唐傭立女傭、⑤北魏青銅鍍金釈迦牟尼仏坐像、⑥汝窯蓮花式湿碗、⑦明官窯青花鍍龍天球瓶、⑧肉形石、⑨翠玉白菜九層象牙玉などだったが、そのどれもが素晴らしい技巧で精緻な細工がしてある。声にならない感嘆が聞えるようだ。今度は是非一人で再訪したい。短い時間だったがそれまで見慣れた西洋の美術とは違った、静謐にして抑制のきいた東洋の寡黙な美に出会い満足した。

 さて、感動覚めやらぬ面持ちのままバスにて移動。①忠烈祠、②中山紀念堂、③総督府、④行天宮、⑤占い横丁などを見て回る。蒋介石を祭っている中山紀念堂ではバッキンガム宮殿の衛兵交代の儀式に似たセレモニーを見学(写真)、中国茶のセミナーを体験したり、足裏マッサージや、変わったところでは台湾式シャンプーなども体験して、内容はじつに盛りだくさんだった。
 
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 昼は石鍋料理で、下の写真ように①鍋の具材を食べ終わると②麺を入れて、③さらにご飯を入れてひとつの鍋で3回楽しんだ。夕食は市内に展開するチェーン店だが、「レストラン梅子」で台湾料理を堪能する。供される料理のどれもが美味しく、皆満足そうだ。夜は台北市内から40分程度はなれた北投温泉へチェックイン。宿泊はその名も「熱海温泉」というホテル。さっそく地下にある洞窟温泉風呂に入浴して、久しぶりに四肢を思い切り伸ばして寛ぐ。

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テレサ・テン

 昨夜は午前様にもかかわらず、6時半には目を覚ます。時差マイナス一時間のせいかもしれない。朝食前にホテル裏の早朝市場をぶらぶらと散策。朝食を済ませていよいよ台北観光に出発。このツアーのスケジュールはかなりハードでというか盛りだくさんで、60歳代以上のご夫婦にはキツくはないのだろうかと思ってしまうが、ベテランガイドの巧みなお喋りと誘導で皆さん盲羊状態で従う。これはこれで私にはとても快適だった。

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 最初に映画、「非情城市」で再度脚光を浴びるようになった金鉱の町、九分に出かける。小雨降る中、ノスタルジックな街並みをそぞろ歩き。宮崎駿監督のアニメのヒントにもなった眺望やレトロな茶芸館にはさまれた、基山街から軽便路にいたる狭い階段を登る。途中、台湾最古の映画館などを見ながらガイド氏の解説を聞く。敗戦後、中国へ返還されるまでの50年間、この土地が日本の統治下にあった時代の足跡など実に詳しい解説を自身の家族体験をも交えて話してくれる。

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 九分観光から続く金瓜石なる世界でも指折りの金脈の町として栄えたこのあたり一帯の歴史、文化遺産、集落の保存が目的の施設、「黄金博物館」へ。前フリもあってガイドの解説はとても参考になるものだった。こういうところがツアー旅行のメリットなのだと思う。「黄金博物館」に展示されている220kgの金の延棒に触る。金持ちになれるとのことだったが、なるほどそんな気分にちょいとさせてくれる。

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 左上の写真は、当時の日本風家屋4棟を保存してあるもので、右の写真は昭和天皇が皇太子だった頃、訪台の予定のため建てられた和風邸宅だ。さて、再び我々はバスに乗り野柳風景特定区へ移動する。台湾の北端に近い東シナ海に面した野柳岬に位置するここは一種のリゾート地なのだろう、港には生きた魚や貝、海老などが泳ぐ生簀を備えた海鮮料理屋が並ぶ。その中の一軒、「女皇レストラン」で昼となる。供された料理は皆美味しい。なかでも参加者の評価が高かったのは、白身魚の清蒸だった。

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 女皇という名のいわれは食後、散策ついでに歩いた野柳岬にあった。左下の写真をご覧になって何に見えるだろうか。現地の人はエジプトのクレオパトラ女王というのだが、いわれればそう見えないこともない。右は象の頭ということだったが・・・・。

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 バスに乗り込むとガイド氏が、「雨夜花」(ウーヤーホエ)という歌を教えてくれる。この歌、テレサ・テンが歌ったそうだが、どこか聴き覚えがある歌だった。歌詞は、(1、雨の降る夜に 咲いてる花は 風に吹かれて ほろほろ落ちる 2、明日はこの雨 止むかも知れぬ 散るを急ぐな かわいい花よ)というのだが、ヒットする歌の条件は二つあって、一つは歌いやすいこと、二つ目は事実の要素が含まれていること、だそうでガイド氏はこの歌の背景をこう解説してくれる。

 (山に住んでいた麗花という17歳の娘が旅館の女中になる。台北の金持ちの息子という22歳の男と知り合う。この男は転治療法のためこの旅館に逗留していたが、二人は恋に落ちる。ややあって(昭和8年)麗花は(この男の子供)妊娠する。が、元気になった男は麗花にきっと迎えに来るといいつつ台北に帰ってしまう。待つことに痺れを切らした麗花は、男のいる台北に会いに行くが追い返されてしまう。麗花は子供を独りで産んで生きていく決心をする。が、案の定転落の一途をたどり身体を売って子供を育てていく道を選択する。その子が成長して起こした会社が台湾ナンバー2の電気会社に成長する。その話を聞いた知り合いがこの歌を作り大ヒットする。)

 さて、一行を乗せたバスは東シナ海を見下ろす高台のゆるやかな南面に広がる高級墓地に到着する。日本の墓地とは違う、いかにも金持ち然とした佇まいに誰かが、「ワーッ、テーマパークみたい」と声を上げる。その通りで、園内には大理石の像やら、金ぴかの納骨堂などが立ち並び、異国情緒満点。その一角に台湾政府が管理するテレサ・テンの墓があった。センサーが感じてテレサ・テンの曲が流れるなか、ガイド氏が代表してお線香を上げ全員手を合わせる。

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 バスに乗り込み、墓地を後にして淡水第二漁港を観光整備した埠頭に向かう。あいにく小雨降り続く天候でこの観光地は人気もなくガランとしていたが、晴れていればしゃれたカフェ&レストランや、観光魚市場などで賑わう旬のデートスポットだという。右下の写真はその後に立ち寄った「紅毛城」で、中世にスペイン人が建城したが、1867年後に英国領事館として使われていたこともあるサントドミンゴ要塞。

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 とにかく、観光スポット満載でバス移動は皆さんこっくりこっくりと居眠り状態なのも無理ないこと。どうにか台北に戻り、ディナータイム。場所は世界10大レストランに選ばれた、「鼎泰豊」にて名物小龍包と上海点心。店は清潔で料理も美味しいが、繁盛店ゆえサービスのテンポが速くてゆっくりと味わうというヒマもない状態。従業員は一様に若いかわいい女性で、ガイド氏が言うにはこの店の定年は25歳だそうだ。

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 食後、台湾でスケールと活気のいずれをとっても最も有名な夜市、「士林夜市」へ。観光客だけでない地元客にとても人気のスポット。雑貨、若者向けの衣類、路地に入り込むとそこは小吃街が広がり軽食屋や屋台が密集している。私はその中の一軒に入り、桃のカキ氷をチョイス。食感はカキ氷というより冷たい綿菓子といったところか。

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台北格安ツアー

 
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 午前11時に成田空港に向けて家を出る。二ヶ月前に新聞で見た、「台北格安ツアー3泊4日」に申し込んでいたのだが、最近はこの手の安くて盛りだくさんのツアーが花盛りなのだ。ちょうど、仕事も一区切りがついていたこともあり、気軽に参加した。台北の空港に着いて現地ガイドのRさんに連れられて市内のシティホテルにチェックイン。今回の参加者は総勢29人で、私以外はリタイヤしたとお見受けする夫婦連れがほとんどだ。単独参加者は私だけだ。いままで個人で手配をして出かける旅行がほとんどだったが、台湾は初めてだし、私のお目当ての、「故宮博物館」もしっかりとスケジュールに組み込まれているので今から楽しみだ。

 午後6時を回っていたが、ガイドのRさんに教えてもらったホテル近くの食堂で皆は過ごすようだ。チェックイン後、私はひとりでガイドブックに出ていた台湾の高層ビル、「101」を目指してタクシーに乗る。ツアーゆえに自由時間には限りがあるのだ。左上の写真はその「101」のフロアーに立てかけられていた写真パネルだ。あいにく、黒く重い雲が垂れ込めていて小雨が降っている。東洋一の摩天楼という外観をクリアに眺められる天気ではなかったが、そして展望台へのエレベーターチケットのブースの人にもそう告げられたが、とにかく400元(1200円)のチケットを購入して89階までのエレベーターに乗り込む。早くて静かなこの東芝製のエレベーターは、気圧すら耳に感じることなくあっという間に展望台フロアに到着する。

 案の定、視界はモヤッていてよくないが、ガラス面に近づいて目を凝らすと微かに地上のネオンサインなどが見れる。スパイダーマンや、スーパーマンになった気分。階段を登り、91階の屋外展望台にも行ってみる。NYのエンパイヤステートビルもこんな感じなので、いつかこのビルを舞台に使った映画やドラマが生まれるかもしれない。ちなみに私は地下のショッピング、レストラン街(1200席!)で夕食(左下150元)をとったが、安くてなかなか美味しい。

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 さて、食後は軽く和みたい。で、これもガイド本に掲載されていたのだが、新都心で人気のジャズバー、「BROWN SUGAR」なるライブバーに行く。「101」のビルから歩道ブリッジを渡り、ファッションビルの「ニューヨークニューヨーク」をチョイ見して通りを渡ったビルの地下にある。ちょうど10時のステージが始まり満席の店内は大盛り上がり。客は台湾人と欧米人がちょうど半々くらいだろうか。バーというよりクラブに近い雰囲気があって、カップル向きだと思う。私はカウンターでジントニックをオーダーして、ちびちびと台北の旅情を味わう。

ヘイリー

  よく晴れた秋の一日、「クロスオーバー・ミュージック・フェスティバル」と題したコンサートを聴きに東京国際フォーラムへ行く。出演アーティストは、本田美奈子とのデュエット版「アメイジンググレイス」で話題になったニュージーランド出身の22歳のミューズ、「ヘイリー」と、ブロードウエイのミュージカル、「ミス・サイゴン」の主人公、キム役に抜擢された韓国アーティスト、「イ・ソジョン」、アルパ奏者の「上松美香」とイギリスの女性弦楽カルテット、「レイヴン」の4組だ。

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 久しぶりのコンサートは充分堪能できた。曲は、「愛のテーマ」、「虹の彼方に」、「星に願いを」などミュージカルの名曲や映画音楽などよく知っているものばかりで、テレビドラマの主題曲やCFに使われている曲も多い。一曲一曲思い出に浸ってしまう。そのせいか観客も惜しみない拍手を送る。ヘイリーの澄んだ高音が美しく、心洗われる思いがする。若いヘイリーに対してイ・ソジョンはフェロモン満開(そう感じたのは私だけか)で、大人を感じさせる歌唱力を魅せる。

 4組共に美形だが、これだけの美形&実力者を集めても一部に空席も目立つ。ホールAのキャパシティはかなりのものだが、それでも全席指定で入場料6000円は欧米あたりに比べてもチョイ高いのだろう。文化の成熟度が違うといわれれば仕方のないことだが、もう少し安く集客できないものか、などと感じてしまった。

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 開演は2時だったので、東京駅から有楽町までを歩いて会場に向かったのだが丸の内あたりの変化を楽しみながらぶらぶら歩きを楽しむ。このあたり、ロンドンのコベントガーデン近くの街並みに雰囲気が似ている。「キャスキッドソン」の店舗なども同じようにあって楽しい。昼は客が行列してレストラン待ちをしている駅近くを避けて、通り一本向かいの「パパスカフェ」で。空いていてくつろげる。

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 さて、コンサートが終了し、感動さめやらないままに休日の時間はまだ残っている。で、新宿に出て最近ハマっている太宰治の原作で映画、「パンドラの匣」が昨日「テアトル新宿」で公開されているのを思い出して向かう。有楽町から山手線に乗ったが、明治チョコレートそのままにコーティングした電車が走っている。かわいいので写真に撮る。

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 新宿2丁目あたりをしばらく徘徊。寄席の末広亭前の通りは20代の頃経営していた私のバーが近くにあったところなのでチョー懐かしい。当然だがあの頃とはまったく違う賑わいを見せていて隔世の感がする。飲食店の集中するこの通り、仕事帰りの勤め人が居酒屋、バー、ビストロなどで盛り上がっているのを見ているとこちらまで楽しくなってくる。私の店、ホルモン屋になっていた(下)。

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 ところで映画、「パンドラの匣」だが期待以上の作品に仕上がっていたと私など思うのだが、昨日封切りというのにあまり混んでいない。上映が進むにつれ場内の観客の欠伸の気配などして、思い入れのあるなしで受ける印象もだいぶ変わる映画だと思った。作家の川上未映子が不思議な存在感を漂わせて健闘しているのはチョイ意外だった。
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